Y's DIARY

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涼宮ハルヒの驚愕



 言わずと知れたハルヒ最新刊。

 SOS団に新入団員?
 ハルヒ団長の手による数々の理不尽な試験を突破し、ついに現れてしまった謎の新入団員。
 陽気で快活な笑顔の裏に隠された真意とは何なのか。

 αとβが交わるそのとき、キョンそしてSOS団と似非SOS団の雌雄は決する。



 物語はウルトラCな収束を見せるが、それが「ハルヒ」だと言ってしまえばまぁそうなのかもしれない。何たって「神」なわけだからな。

 これまでは仲間と言えど、それぞれの利害関係も絡んで一枚岩と言えないような気がしていたSOS団の結び付き、絆が急速に強まった(ように思える)話だった。
 そう思わせたのは間違いなく、クライマックスに古泉が見せた本気だろうな。

 『憤慨』あたりからも描かれていたが、この『驚愕』でもキョンのSOS団に対する、そしてハルヒに対する想いがはっきり描かれていて、まるでシリーズ最終巻なのかと思った。前は何だかんだで言い訳をして誤魔化していたが、『消失』以降、自分の想いを包み隠すことがあまりなくなったね、キョン。
 自分が「選んだ」世界だから、それもそうか。

 さて、次の巻が出るのは一体いつになるだろうね。

涼宮ハルヒの分裂



 『驚愕』のために急いで読みましたシリーズ第2弾。

 桜咲く季節。SOS団メンバーは全員無事に進級を果たす。
 いつもと変わらぬ調子で新入団員勧誘活動を繰り広げるハルヒを横目に見ていたキョンに古泉が告げる、「『あの日』以来、《神人》の出現頻度が高まっています」と。
 「あの日」、キョンが会った人物、つまりハルヒの潜在的不機嫌の元凶となった人物の周囲に集まる未来人、超能力者、宇宙人的存在が、日常をさらに非日常に変えていく。



 『驚愕』に続くシリーズのいわば序章に近いポジション。 非常に気になる場面で突如終了。何一つ謎が明かされぬまま、消化不良感だけが残る。
 この状態で『驚愕』発売まで4年も待たされたとはそれはもう相当な焦らされ方だな。昔、友人が「いつまで分裂したままなんだ」と言っていたのもさもありなん。

涼宮ハルヒの憤慨



 大学時代に買ったのに、未だに読み終わってなかったハルヒシリーズ。『驚愕』購入を機にやっと読みました。

 「編集長★一直線!」と「ワンダリング・シャドウ」の中編2本立て。

 ・編集長★一直線!
 文芸部存続のためには、部としての正式な活動、つまり会誌の発行および頒布が必要だとする要求をハルヒに突きつける生徒会長。
 かくして、SOS団およびその仲間たちはハルヒ編集長主導の下、各々が小説を書かされることになるのであった。

 ・ワンダリング・シャドウ
 SOS団にひとつの依頼が持ち込まれる。依頼人はキョン・ハルヒのクラスメートである阪中。愛犬・ルソーがどうしても近寄ろうとしない地域に幽霊でもいるのではないかと話す。
 懐疑的だったキョンがそこで出会ったものとは……。



 「編集長★一直線!」感想
 朝比奈さんの童話はまあいいとして、このエピソードのポイントは長門の私小説めいた「幻想ホラー」とキョンの引っかけ「恋愛小説」だろう。
 引っかけポイントは種明かし前にオチがわかったけど、古泉の指摘がなかったら違和感はありつつもスルーしてたかもな。
 黄緑さんの再登場および正体の発覚という新事実はあるものの、全体の中ではそれほど重要でないエピソードという印象。

 「ワンダリング・シャドウ」感想
 これといって大きく盛り上がるところのないお話。展開・内容ともに「ミステリック・サイン」に近い。
 「消失」以降、キョンがハルヒたちとの日常を受け入れ、またそれに愛着を感じていることがよくわかる後半の描写が印象的。

魔球



 『魔球』―東野圭吾

 創業20年足らずで一大企業に成長した東西電機。その社内に爆弾が仕掛けられる事件が起こったのは、春の高校野球選抜大会5日前。

 天才と称される須田武志投手を擁し、春の選抜大会に出場した開陽高校野球部。その主将にして正捕手の北岡明が刺殺される事件が起こったのは、4月初旬。

 一見無関係に見える2つの事件が、ある1人の人物の「約束」を中心に繋がり始める――。



 前回に引き続き、東野圭吾作品。

 これは何とも切ない。

 クライマックスにかけて伏線が回収されていき、するすると謎が解けていく様は非常に心地良いのだが、一方で明らかになる真相が切なすぎる。

 文庫版の解説にあるように、この作品はミステリというエンターテインメントであると同時に、ひとつの文学作品のようでもあると思う。

 良作。

新参者



 2010年版『このミステリーがすごい』で1位になっていたという理由で購入。

 それだけの支持を得ているということが事実としてある以上、期待を外れることはないだろうという安心感を持って読み始めた結果、全く期待に違わぬ面白さ。

 小伝馬町で起きた女性殺害事件を巡る警部補・加賀恭一郎の活躍が全9章構成で描かれているのだが、それぞれの章がそれだけでもひとつの短編として読めるほど綺麗にできている。それ故、短編集を読むような感覚でさくさくと読み進めることができる。

 そしてその一方で、そのような個別のエピソード(章)を追うごとに事件の謎が徐々に明らかになっていく。それはまさに、事件の解決に向けてパズルのピースが集約されていくようである。


 本作品を貫くキーワードである「人情」が感じられる各エピソード、そしてそれらが事件の真相に向かって積み上げられていく構成、どちらも素晴らしい。なるほど評価されるわけだ。

 『Another』に続く5つ星作品。

リピート



 ある時間帯、ある場所に行くと、その時点での記憶を保持したまま、意識だけを9ヶ月前の過去にタイムトリップさせることができ、その9ヶ月間をやり直すことができる。その時間遡行―「リピート」に、あなたを招待します。

 毛利啓介のもとに寄せられた、「カザマ」と名乗る男からの電話。

 あまりに非現実的、信じられるわけがないと思いつつも、その男は確かに「未来を知っているとしか思えない」予言を成功させ――。



 先日の『イニシエーション・ラブ』に引き続き、乾くるみの作品。別に乾くるみ特集ではないが、書店で本を物色していたところ、どうも気になったため手にとってみた。

 スリルあり、本格ミステリ的謎要素あり、と先が気になる展開で、1日で一気に読んでしまうくらい面白い作品だった。

 ただ、物語の中にぐいぐい引き込んでいく力はいいのだけれど、その分ラストが何とも物足りない。強引さがあって今ひとつ納得できないところがあるし、読後の余韻もさほど残らない。

 ……何か、俺が嫌いな、いわゆる「評論家」っぽい口ぶりだけど、あくまでこれは俺の「感想」ですんで。

 あと、これから読む人の参考までにひとつ。
 ネタバレにはならないと思うけど、「リピート」という現象それ自体には何のトリックもなく、「現実としてそれが起こるのだ」という認識で読み進めた方が楽しめるかな。俺はどうもそのあたり現実志向というか本格志向というか、その現象にも何かトリックがあって、それが最終的に解明されるのかと少し期待していたんだけどね。



 さて、乾くるみの作品を2冊続けて読んだわけだけれども、なるほど確かに面白い作品を書く作家だとは思う。

 しかし、どうしてもこの人が書く主人公の青年像が好きになれない。読んだ2作がたまたまそうだっただけなのかもしれないけど、どっちも(特に『リピート』の毛利)女たらしなんだよな。しかも、決まって妊娠させるという。もう、アホかお前と。

 おかげで、『リピート』に関してはほとんど全く主人公に感情移入できず、主人公が窮地に陥る場面でも「そのまま死んでしまってもいいのに」と思ってしまった。

 途中からは主人公に対して嫌悪感を覚えながら読み進めるというね(笑)。

 逆に言えば、それでも最後まで読みたいと思わせる面白い展開だったことは改めて言っておこう。

イニシエーション・ラブ



 『イニシエーション・ラブ』 - 乾くるみ(2007)

 これより先に『ゴールデンスランバー』を読んだのだが、先にこちらの感想を。

 帯や裏表紙の紹介文に踊る「必ず二回読みたくなる」という文字。

 これはラストにさぞやとんでもないどんでん返しが待っているに違いない。そう期待させるだけの宣伝文句である。

 しかし、結論から言えば、途中で何となくラストの展開の予想がついてしまった。なので、最後から2行目の問題の文章を読んだときも、驚くというよりは「う~む、やっぱりそういうことか」と思ってしまった。

 思うに、この作品は端々にヒントを出しすぎているのではないか。それもさりげなくではなく、かなりあからさまに。伏線が伏線でないというか、伏線が伏線であることを主張しすぎているというか……。それ故、途中で物語の構造がぼんやりと見えてしまうのだ。

 もう少しこの箇所をぼかして表現していれば、自分も確実に騙されたかもしれないと思う箇所がある。ただ、逆に言えば、それだけこの著者は読者に対してフェアだったということなのだろう。

 さて、ここまでだと芳しい評価ではないように読めるが、そういうわけではない。

 初めからこの物語の構造をしっかりと知った上で再読すると、確かにそれはそれで新しい発見があって面白いに違いないし、紹介文もあながち大袈裟ではない。

 ラストを大どんでん返しに持っていくにしては、ややヒントを出しすぎのきらいはあるが、そうでないものをあたかもそうであるかのように思わせる、この作品のような小説ならではの文章トリックは大好きだ。

 文庫で250ページほどと短い作品でもあるし、一度読んでみて損はないのではないだろうか。

Another



『Another』 - 綾辻行人(2009)

 夜見北中学校の3年3組にまつわる「呪い」を巡るホラーミステリ。

 26年前の3年3組で起きた「ミサキ」という名の生徒の死、そしてそれに対するクラスの対応を発端として始まったとされる「呪い」。

 「呪い」は年によって不定期で訪れ、それが「ある年」には3年3組のクラス関係者が次々と命を落としていく。

 その夜見北中学校3年3組に転校してきた榊原恒一は、不思議な魅力を持つ少女「ミサキ・メイ」と出会う。

 何とか彼女に近付こうとする恒一だったが、まるで自分以外のクラスメイトにはメイのことが見えていないようであることに不審を抱き……。

 そんな中、クラス委員長の桜木ゆかりが悲惨な形で最期を遂げる……。

 「今年は『ある年』だったのだ」

 次々と死んでいくクラス関係者。

 この「呪い」を止めることは果たして可能か、不可能か。



 久しぶりに綾辻行人の本を読んだ。

 この作品は、「呪い」という人智を超えた超常現象を扱っており、それは理屈抜きに「そういう現象なのだ」とされている(裏で全てに通ずる犯人がいるわけではないということ)。

 それゆえ、ジャンルとしては本格ミステリというよりはホラーなのだろうが、もちろん、そこにもしっかりとミステリの要素はある。

 それは「What?」「Why?」「How?」「Who?」という疑問符で表されている4つの謎である。

 作中で3年3組の呪いを巡るそれらの謎が順番に明らかになっていくのだが、特に最後に「Who?」の謎が明らかになったときの衝撃を受けて「あぁ、やはりこれはミステリ小説だな」と安堵した。

 それまで頭の中で構成されていた物語が最後の最後で一気に覆される圧倒感と爽快感。

 これぞまさにミステリ。これがあるからミステリを読むのはやめられない。

 そしてまた、1つの物語の解決を見つつも、しかしそれはあくまで1つの終わりでしかなく、実際には根本的な問題は何も解決していないのではないかと思わざるを得ない、もやもやとした読後感はやはりホラーであった。

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30代男。
三度の飯より鷹命。

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