Y's DIARY

Y's DIARY


第5話「池袋宣言」

 第5話「池袋宣言」

「ゲームをつくる?」
「そう、この前お前がブログにイラストアップしてんの見て、ビビッと来たんや。お前やったらできる」

 俺が描いたイラストを見て、それでゲームをつくろうと思い立って、そしてシナリオを書き始めたというのか?
 ブログにアップしたのなんて、数日前だぞ?
 その間に、この作品のアイデアを思い付いて形にしたのか?
 いや、この作品のアイデアがいつできていたかはあまり問題ではないな。大事なのは、それを確かに形にして今ここに持ってきているということだ。

 それはハヤトの突拍子もない思い付きだった。しかしそれでいて、彼は至極本気だった。
 そうでなければ、まだ一部とは言えシナリオを書いて、それを読ませるためにわざわざ池袋にまで来るはずもない。

 単なる一過性の思い付きでないのは間違いなさそうだ。
 それならば、こちらも無下にするわけにはいくまい。いや、「誘いを受けて仕方なく」というようなポーズで誤魔化すのはやめよう。
 このとき既に、俺は自ら能動的にこのゲーム製作プロジェクトに参画したいと思っていたのだ。
 だから……。

「やるなら本気でやるぞ。中途半端にやって自己満足で終わるくらいならやらん方がましだ。そうだな、やるならコミケに出展する!」
 俺はハヤトの誘いに乗ると同時に、さらに高い目標をぶち上げた。

 何事も、まず初めに目標を「宣言」すること。それによって、そこに「責任」が生じるし、やる気も起こる。これは『プチクリ』から学んだことだ。

 2008年5月、この「池袋宣言」を以って、俺、ハヤト、コージローの3人を中心とした、悲喜こもごも波乱万丈前途多難の同人ゲーム製作ストーリーは幕を開けたのだった。そう、人知れずに。

「あ、そうや。俺、この作品のヒロインのイラスト、自分で描いてみたんやけど」
 帰り際、駅前でそう言ってハヤトが懐から取り出したA4のコピー用紙については、あえてここでは触れないでおこう。見なかったことにしておいた方がいいことが往々にしてこの世にはある。

 こうして、俺たちは1つの目標を共有するチームとなったのである。これからがやっと本編の始まりである。みんな、ついてこい。

 つづく

« »

03 2011
SUN MON TUE WED THU FRI SAT
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
Profile

うーすけ

Author:うーすけ
30代男。
三度の飯より鷹命。

Blog Search
Recent Entries&Comments
 
Monthly Archives