Y's DIARY

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2時間

 精神的に大変疲れた研修の後、夜は新宿で大学時代の女友達と食事へ。

 どこに行くかいろいろ考えはしたけど、結局普通の居酒屋に行くことに。

 仕事の話などをちょろちょろとした後、本題(?)の恋愛論の話をする。と言っても、俺の中では答えが出ている話だったので、深刻な相談という感じではなく、「これこれこういうことがありまして、まぁ大変だったわけですよ」てな具合に軽い感じで話した。

 彼女は「一気に付き合っちゃえばよかったんだよ」「若いうちは何でも経験だよ」と言っていた。それに対して俺は「そうは言うけど、それはそれでちょっと問題あるでしょ」「まぁ、もう恋愛はいいかな」などと言って笑っていた。

 そのうち、今度は俺が彼女の恋愛話を聞く立場になっていた。気になる人物がいて、飲みに誘ったりするんだけど、それが好きという感情かどうかはわからないという、俺にはあまりわからないけれど興味深い話だった。


 「そもそも人を好きになるってどういう感覚だろうと思う」
 「う~ん、俺もよくわかんないけど、別れるときに『寂しい』と思うかどうかなんじゃない?」
 「でも、それって男女問わず、友達であっても思うよね?」
 「まぁ……確かにそれはそうだけど。ただ、その気になってる相手と飲んで別れた後は、友達に対するそれとはちょっと違う気持ちにならなかったの? きっと、なったと思うけど」
 「う~ん……」


 「さっき自分、俺に『一気に行けばよかったんだよ』って言ったじゃない。今こそ、自分が行くべきなんじゃないの?」
 「いや、でも自分からは無理だよ。相手が何考えてるのかわかんないんだよね。謎過ぎる」
 「確かに、それだけ誘われれば何かしら思うところはあると思うけど。その相手がよっぽど鈍感か、それかIさん(この友達のこと)をそういう対象として見てないかじゃない?」
 「そうだよね~」
 「でも、ホントに嫌だったら誘われても断ると思う。少なくとも、俺ならそうする。何にせよ、Iさんはその相手のこと好きなんでしょ?」
 「う~ん、そうでもない……かな?」
 「そこがよくわかんないんだけど、わざわざ自分から会う機会を作ってるわけでしょ? それはきっと自分を誤魔化してるだけだよ。変なプライド持たないで正直になった方がいいと思うよ?」
 「変なプライド持ってたいの」
 「俺の経験からも、意地張らない方がいいと思うよ?」
 「意地張りたいの」


 「とりあえず、また会う約束してるんでしょ?」
 「まぁ……」
 「だったらいいじゃん。俺なんか、会うことはおろか、話すこともメールすることも二度とないんだよ(笑)」


 ここまで腹を割った話をしたことも初めてだった気がするし、彼女の話を俺が聞く立場になったのも初めてだったのではないだろうか。今まで結構謎だった彼女の人となりや恋愛観が垣間見えたような気がする。


 その後は、どういう流れでそうなったかは覚えていないが、やっぱりと言うべきか、いつの間にかアニメの話に変わっていて、俺は『けいおん!』のOPとEDの動画及び音楽にどれだけ衝撃を受けたかを熱く語っていた。彼女は「絶対観てると思った」と笑った後に、「どうぞどうぞ」と話を聞いてくれた。
 OP派かED派かは意見が分かれたが、共通の見解として「細かい動きを丁寧に入れることでキャラを立たせている点が良い」「髪の動きが魅力的」というものが挙がった。……まぁ、だから何だという話ではあるが、こんな話ができる人は他にほとんどいないので非常に楽しかった。

 しかし、楽しい時間というものはあっという間に過ぎてしまうもので、時間になった俺たちは店員に急かされるように席を立った。会計は、変に俺が多く払うのも何となく気を遣わせる気がしたし、大学の同級生でお互い社会人ってことで、端数分だけ俺が多く出してほぼ割り勘にした。


 「じゃあお互い頑張りましょう。俺はもういいけど」
 「はは」
 「でも、素直にならないと後でホントに後悔すると思うよ」
 「後悔してるんだ?」
 「そりゃしてるよ。あのときもっと素直に言えばよかったとか。今となっては、もう何も言えないんだよ(笑)?」


 最後にそんなことを話して、改札で別れる。

 楽しくて、有意義で、そしてあっという間だった2時間。

 何でも話せる女友達って貴重だな。今更隠すこともないし。



 帰り、ガラガラの埼京線の車両に乗り込み、音楽を聴きながら思った。

 「今、俺と別れた彼女は、多少なりとも『寂しい』気持ちになっているんだろうか」

 俺も素直じゃないな。

 ガタガタ揺れる電車の軋みが、やけに眠気を誘った。
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30代男。
三度の飯より鷹命。

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