Y's DIARY

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イニシエーション・ラブ



 『イニシエーション・ラブ』 - 乾くるみ(2007)

 これより先に『ゴールデンスランバー』を読んだのだが、先にこちらの感想を。

 帯や裏表紙の紹介文に踊る「必ず二回読みたくなる」という文字。

 これはラストにさぞやとんでもないどんでん返しが待っているに違いない。そう期待させるだけの宣伝文句である。

 しかし、結論から言えば、途中で何となくラストの展開の予想がついてしまった。なので、最後から2行目の問題の文章を読んだときも、驚くというよりは「う~む、やっぱりそういうことか」と思ってしまった。

 思うに、この作品は端々にヒントを出しすぎているのではないか。それもさりげなくではなく、かなりあからさまに。伏線が伏線でないというか、伏線が伏線であることを主張しすぎているというか……。それ故、途中で物語の構造がぼんやりと見えてしまうのだ。

 もう少しこの箇所をぼかして表現していれば、自分も確実に騙されたかもしれないと思う箇所がある。ただ、逆に言えば、それだけこの著者は読者に対してフェアだったということなのだろう。

 さて、ここまでだと芳しい評価ではないように読めるが、そういうわけではない。

 初めからこの物語の構造をしっかりと知った上で再読すると、確かにそれはそれで新しい発見があって面白いに違いないし、紹介文もあながち大袈裟ではない。

 ラストを大どんでん返しに持っていくにしては、ややヒントを出しすぎのきらいはあるが、そうでないものをあたかもそうであるかのように思わせる、この作品のような小説ならではの文章トリックは大好きだ。

 文庫で250ページほどと短い作品でもあるし、一度読んでみて損はないのではないだろうか。
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30代男。
三度の飯より鷹命。

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