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第4話「着火」

 第4話「着火」

 何故か変人ばかりが一堂に会したミスタードーナツ2階で、俺とコージローによる「それ」の公開読書が始まった。
 「それ」とはつまり、ハヤトが書いたという小説のことである。彼がおもむろにかばんから取り出したA4コピー用紙の束は想像以上に厚く、50枚近くありそうだった。
 印刷されていたのは1部のみだったため、俺が1ページ読んだらそれをコージローに渡すというローテーションで読み進めることにした。

 タイトルは『Calendar』。時空跳躍要素を取り入れたSFものであった。まだ完成したものではなく、第1章部分のみであるという。
 正直に言おう。
 これまで散々煙に巻いて、何とかハヤトからの逃げ切りを図っていた俺であるが、この作品を初めて読んだとき持った感想は「面白い」である。特に、高校生の主人公と、それより数年後の社会人になった主人公の話が節ごとに交互に進行していき、最終的にそれらがある1日に収束するという展開は、悔しいながらもうまいと思った。

 だが問題もあった。
「このキャラの名前は何なんだよ」
 センスがあるとかないとかいう話ではない。皆どこかで聞いたことのあるような名前だと思ったら、どの人物も阪神タイガースの選手の名前を拝借しているのだ。
 何と言っても主人公の名前が「赤星進次郎」である。韋駄天レッドスターもびっくりに違いない。

 しかし、それよりもさらに大きな問題があった。
「うん、それで何でいきなりこんなん書いたん? これからどうするわけよ」
 意外に面白い作品を書けたことはわかった、それで読ませたいと思った、それはいい。
 それで、これからどうしたいのか。
 ハヤトは言う。
「ゲーム作ろうぜ、ゲーム」

 皆さんはノベルゲームというものをご存知だろうか。「『ひぐらし』みたいなやつね」とお分かりの方には説明不要だろうが、ご存じない方のために説明しておくと、ノベルゲームというのは「画面に表示される文章(および副次情報としてのイラスト)を読み進めていく(場合によっては選択肢を選ぶ)、読書に近いゲーム」のことである。
 彼は、その小説(いや、もうシナリオと呼ぶべきだな)に俺のイラストを足してノベルゲームをつくろうと言い出したのだ。
 聞けば、彼は数日前に俺が描いてブログにアップしたイラストを見て、これならイケると思ったらしい。
 あれが今の状況の火種になっていたとは、まさか思いもしていなかった俺は呆れると同時に、沸々と湧き上がる創作意欲を抑えられなくなりつつあった。

 つづく



 何となく「毎週月曜日」が板についてきた俺。

 この頃のバイタリティというかモチベーションを思い出すと、今の自分が恥ずかしくなるな。
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30代男。
三度の飯より鷹命。

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