Y's DIARY

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2日目(後編)

 4月30日(日)

 ゴールデンウィーク2日目。



 劇的な試合を観てテンションが上がった俺は、神戸に住む友人・8810にLINEでメッセージを送った。

 「三宮行けばええんか?」

 道頓堀にひとり飲みに繰り出すつもりだったが、三宮まで足を伸ばしてもいいのではないかという気分になったのである。

 しかし、送ったメッセージの返信はない。まだ仕事中なのであろうと思い、ひとまずホテルに向かう。
 ホテルは道頓堀の飲み屋街にほど近い長堀橋のドーミーインを予約していた。

 最寄り駅である長堀橋を出てホテルに向かう。
 何となくそんな気はしていたが、以前もこのホテルに泊まったことがある。ただ、それが、いつ、何の目的で訪れたときだったかがどうにも思い出せない。

 そんなモヤモヤを抱きつつ、ホテルにチェックイン。時刻は18時。

 部屋に入り、スマホを充電しつつ返事を待つ。

 返事が来たのは18時40分過ぎ。ただ、さすがにその時間から約1時間かけて三宮に行くのはさすがに少し無茶だろうということで、当初の予定通りに道頓堀に行くことに。

 ホテルを出て少し歩けば、そこはもういわゆるひとつの道頓堀である。

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 もう何度も来たことがあるところなので、そこまでの感動はないが、やはりここに来るとヤクザやチンピラを道頓堀に投げ込みたくなる。

 それにしても人が多い。やはり連休だからだろうか。過去に来たどのときよりも人が多い。しかも、日本人だけでなく、ジングォン派と蛇華、もとい韓国人と中国人が多い。そのせいかどうかは知らないが、いつもはわらわらといるガールズバーの客寄せのネーチャンをこの日は全く見ることがなかった。

 どこの店に行こうかとしばらくぐるぐると歩いた結果、あまり騒がしくないところにしようと考え、メインストリートから法善寺の方に少し入ったところにある「がんこ」という居酒屋に入った。

 大阪ならでは、というインパクトは少し弱いが、まぁいいだろう。

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 昼はすき焼き弁当だけで物足りなさがあったこともあって、美味い美味い。焼酎のラインナップに赤霧島があったため、在庫があることを確認して注文。いやー、旅先の夜に飲むお酒ってたまらんよね~。

 と、カウンターでひとり飲むおっさんの後方で騒がしい声がする。

 おっさんと若い女性だ。一体どういう組み合わせなのだろうと不思議に思う。
 聞き耳を立てていたわけではないが、声が大きいので嫌でも彼らの話が耳に入ってくる。

 どうやら、女性はガールズバーの店員で、おっさんとはそこで知り合って仕事前に飲んでいるという、いわゆる「同伴」の状況のようだ。

 おっさんは横柄な口調と声のデカさで、話をしているのを聞いているだけで不快になるような男だった。
 しかし、ガールズバー嬢は「ホンット男前やわぁ。いつもこっちが楽しませてもろとるもん」などと言っている。
 どうせ営業トークだろうが、そんな営業トークに乗せられて話をするおっさんが滑稽で仕方なかった。

 そして、時刻が21時に近づいた頃、彼(彼女)らの物語が動き出す!

 いつの間にか、おっさんが席にいなくなっており、ガールズバー嬢が店の関係者らしき人物に電話をかけている。

 「お客さん、電話するとか言って席を外してから戻ってこないんだけど。21時10分には店出んといけんのに、どうしたらいい?」

 どうも、おっさんがどこかに行って戻ってこないらしい。ただ、まだこの時点ではただトイレに行っているだけかも知れないし、そこまで興味の対象ではなかった。

 しかし、その後10分ほどしてもおっさんは現れない。どうも、本当におっさんは会計もせずにガールズバー嬢を置いてバックレたようだ。ガチクズじゃねぇか。

 電話をするガールズバー嬢もさすがに焦り出した。そこに、ガールズバー嬢が持つ別の電話が鳴る。どうも、客向けに番号を教えている電話は別に持っているようだ。

 「今どこにおるん? 電話して戻ってきたら、おらんかったから不安やったんよ~」

 店の関係者に電話しているときとは明らかに違う声色と話の内容からして、電話の相手はおっさんだ。間違いない。
 詳しい話の内容はよくわからないが、類推するに「仕事に出ずに飲み続けられるよう店の人間に話をつけてやる」的な妄言をおっさんは言っているようだった。

 「やっぱ男前やわぁ」などと思ってもいないことをペラペラと話すガールズバー嬢。

 ただ、さすがに、ガールズバー嬢も苛立ちを隠せなくなってきたらしい。

 「会計12,000円するんやけど、私2,000円しか持ってないし、カードも持ってないから出られんの。どうするん?」

 猫を被った声色が少し剥がれてきて、地声に近くなってきた。
 どういう結論になったのかはわからないが、一旦電話を切ったガールズバー嬢。
 今度は店の関係者に電話をする。

 「お客さんも結構飲んでて、言ってることもわけわかんないの。私、こういうのとか初めてやし、どうすればいいん? 住所送るから来てくれん?」

 表向きは「男前やわぁ」と言いつつ、実際は「わけわかんない」という滑稽さ。おっさんがガチクズ野郎であることは疑いようのない事実であるが、別にこのガールズバー嬢に同情する気も起きない。

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 さて、このガールズバー嬢が遭遇したトラブルエピソードの顛末を最後まで見届けたいと、食べる気もなかったデザートを頼んでまで時間稼ぎをした俺であるが、さすがにそろそろ限界が来ていた。
 ガールズバー嬢の話に聞き耳を立てていることが店員さんにバレているんじゃないかという気もしていて、名残惜しいが席を立つことにした。

 帰る直前、ガールズバー嬢の顔をチラッと見たが、派手な髪と服装をした、まぁいかにも水商売風の女だった。

 桐生さんだったら、ガールズバー嬢の代わりにお金を払った上でおっさんを見つけ出してフルボッコにするサブストーリーなんやろなぁと思いつつ、俺は桐生さんにはなれないと思い、まっすぐホテルに帰る。

 たこ焼きを食べなかったこともまた心残りではあったが、劇的な試合を観戦できたことも含め、充実した1日だったという満足感に包まれて部屋のベッドに横になった。その頃には、ガールズバー嬢がどうなったかなんてどうでもよくなっていた。
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30代男。
三度の飯より鷹命。

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